プランニングの手順3 ~高さを考える~
プランニングの手順について4回目になります。
いろいろと書いてきましたが、今日は高さについて話をしていきたいと思います。
これまでの記事はコチラからお読みくださいね。
第二話の続き プランニングの手順2の続き~車のことを考える~
高さというと2つのお話をしなければなりません。
一つは前回からの続きになりますが、建物周りの高さについてです。
もう一つは建物そのものの高さです。
ようやく建物の話が出てきそうです。
ずっと外のことばかりを話してきましたのでプランニングについて話を聞きたいと思っても全然はなしてないやん!!って怒られそうです。
さて
まずは1つ目の高さについてから。
実話です。
こんなことがありました。
最近の出来事です。
株式会社のびのび子ども住宅は設計事務所、建築業、不動産業を営んでいますが、
協力会社から設計だけを請け負ってほしいという話もたくさんあります。
どういうことかというと
お客様との打合せは、自社でやるから、設計の申請や構造計算についてだけやってくれないか
という内容の仕事です。
設計事務所として仕事を引き受けるわけですが、
引き受けたからにはちゃんと仕事をするのは当たり前。
現場に行ってチェックしていきます。
今回も現場に行きました。
取引先がつくってきたプラン図を見て愕然としたんです。
敷地の高いところと低いところがあり、その差が33センチあるという内容です。
いわゆる傾斜地の敷地で、緩やかではありますが、高低差が生じているということです。
そして
道路と比較的フラットな部分に駐車場を配置し、道路と一番高低差がある部分、つまり敷地と道路が33センチ高さの差があるところに玄関を配置していました。
現場では33センチだと一見わかりにくいのですが、
建築の仕事をしていると周りの雰囲気を見れば傾斜地であることはわかります。
ずっとその仕事をしているのですから。
しかし
その会社の営業マンがプランを自分で描いたそうですが、高低差を無視してプランをしていたというわけです。
どういうこと??
道路と敷地に高低差があるということは
外部の階段が必要になるということです。
外部階段は、のびのび子ども住宅では15センチ以下にするように設計ルールを取り決めていますが
33センチということは2段以上は必要になるということが明らかですよね。
2段以上ということは、踏面(階段の水平になっている平らな部分)の奥行きが最低30㎝で考えると全体奥行きは60cm必要になります。
これは高低差がある場合のことで、
実際に基礎の高さなどを考えると、普通に平坦なところで家を建てても2段必要であり、今回の高低差の分を考えると全部で4段か5段必要になります。
仮に4段とすると、道路境界線と玄関ポーチとの間には30cm×4段=120cmの奥行きが必要になってきます。
しかし、しかし、プランそれば60cm程度でしか検討されていなかった。
イメージしてください。
玄関扉をあけると、ドーンと高低差がある家です。
道路ぎりぎりに建物が建つような感じになります。
危ないですし、長い間住む家です。外の階段が高いと出入りがしんどいんです。
しかし、その営業マンは無視して描いていたということです。
これはお客様が不幸でなりません。
設計者として私はその営業マンに事実を伝えプランニングを見直すように伝えました。
また、現時点でどういうことが対応できるかも伝えました。
結果はまだわかりません。
道路との高低差は、たかが33cmですが、されど33cm。施工を考えると大きな問題になります。
30cmというと、A4の紙の長い方です。
人が乗り越えられない高さではないのですが、建築ではそうはいきません。
また
車の出入りがもしこちら側に配置されているとしたならば、車の出入りさせるためには敷地の土を大きく漉き取る工事が必要となるでしょう。
そもそも
玄関と駐車場を正反対の位置に配置させる意図は何にあったのかもわかりかねました。
平面計画だけを見ると
『おさまっている』ように感じられることが
実際はまったくダメダメなプランであることは多々あります。
また
そういう営業マンに限って、自分は設計ができると思ってしまっています。
こんなかっこいいプランを作ってみました!!どうですか!!って。
このことは本当にやめさせなければならないと思います。
平面だけを考えてしまうからこういうことになってしまいます。
第1話、第2話とも関係することだというのがご理解いただけると思うのですが、
敷地の特徴をしっかりつかむこと、良いところ悪いところを判断しないままに平面計画をしてしまうことによる悪なのだと思うのです。
敷地の特徴、今回は敷地と道路の高さについて把握することが大事であり、
把握することが出来ていれば、駐車場の最適場所や玄関アプローチの考え方など定まってくるはずなのです。
玄関あけてすぐに高低差のある道路なんてプラン、ありえないですよね。
愚痴にも聞こえてしまうような今回のブログですが、
いや、実に多いんです。こういうこと。
現地を確認もしないでプランニングに入ってしまうことによる弊害。
出来上がったら、え!説明聞いてない!!なんてことになってしまいます。
外部の高低差についてはプランニング前にしっかりと説明を聞いたうえで確認していく必要があります。
これは
注文住宅でもそうでなくても同じことですから、本当に気を付けてくださいね。
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第二話の続き プランニングの手順2の続き~車のことを考える~