プランニングの手順 ~大きさをそろえる~
プランニングの手順のお話、へーおもしろーい!!とお声がけいただけるようになりました。
こんな風に進めるんだ~と意外だったとのお話もあり、皆さんのお役に立てているのかな~と思っています。
高槻市の1級建築士で不動産も取り扱える建築家の九万田忠孝がお届けするプランニングの手順のお話。
今日は平面についてお話していきますね。
これまでのお話はコチラから
第二話の続き プランニングの手順2の続き~車のことを考える~
描きだす前に知っておく部屋の大きさ
さて、平面計画です。
描きますか?もう描くんですか?描いちゃっていいいんですか?
これまで周辺環境や高さのお話をずっとしてきました。
それによって敷地に対する建物の配置(ゾーニング)が決まったと思われます。
駐車場の位置や玄関の位置。
そしてリビングルームからくつろぎの場所から何が見えて、何を見せなくするのか
こういったことが決まっていくと形がおおよそ決まってきますよね。
そして
描きますか?
いいえ、描きません。
描かへんのか?描かへんのか?ほんまに描かへんのか?
ほんまに描きません。
そのまえに、
まだその前に?
そう、その前に
部屋の大きさを知ることが大事なんです。
なんとなくわかっていることとは思うのですが、あらかじめこれらをやっておくことが大事だからあえて言うんです。
部屋の大きさを知る。
あなたもよく知っている大きさのお話をしていきましょう。
お風呂です。
お風呂って、ユニットバスで考えます。
TOTOやLIXIL、Panasonicなんかが扱ってますよね。
そういったユニットバスのカタログには大きさの表示がされています。
どういうふうにされているかというと、
メーターやミリの単位で表記されているのではなく、『坪』と表記されています。
『坪』って?
と思われるかもしれませんので、おおよそですが、2畳の大きさです。
畳2枚。
畳2枚の大きさわからないっていうかたもおられるかもしれませんので、1.82m×1.82mの大きさ(通常)です。
なぜだかユニットバスは坪表記されています。
1.82m×1.82mの大きさがユニットバスで、おおよその方がこの大きさでOKとおっしゃっていただけます。
つまり
お風呂は1.82×1.82なんだということをまず知ることが大事だということなんです。
その他の大きさはではどうでしょう?
トイレは
1.82×0.91・・・お風呂の半分なんだな。
押入れは
1.82×0.91・・・お風呂の半分で、トイレの同じ大きさなんだな。
玄関は?脱衣室は?パントリーは?
ざーっと部屋の大きさを出していくんです。
すると気づくことがあると思います。
何に気が付きましたか?あなたは???
同じものを見つけていく
気づいたことがありますか?
気づいてほしいなー
それは
これとこれは同じで、この大きさはこの半分。または倍といった風に
部屋をいくつか組み合わせることで大きさがそろっていくということ。
モジュールコントロールです。
設計って千差万別、十人十色といいますが、そうかというとそうでもない。
あるルールに基づいて設計をしているといってもおかしくありません。
それの一つがモジュールコントロール。
部屋の大きさを基準に従って決めており、それらをうまく組み合わせることによって全体を統一されていきます。
よく建築は静かなる音楽とたとえられますが、
一つ一つのパーツはバラバラであってもそれを組み立てながら調和させていく様子は音楽とよく似ているなーと本当に思います。
余談でしたが、
基準を決めて組み合わせていくことを考えていくことによって
無駄のないスッキリとしたデザインにたどり着き、また構造的にも安定させることができます。
同じものが見つかると耐震性があがる??
ユニットバスのお話をしました。
ユニットバスって1坪(1.82×1.82m)ですが、それってすっごく重たいことをご存知ですか?
部屋のわりにすっごく重たい。
なぜならば、お湯を張ります。
200リットルぱっつんぱっつんにためる方はいないでしょうけど、そこに人が入り、家族一緒に入ったらそこにはユニットバスの重さといったいいくらの重さが加算されているんだか・・・
この荷重を支えるのって階下の部分なわけですが、
ユニットバスを2階に配置した場合、バリアフリーを考えると床がないところにすっぽり収まります。
このことはまた新築工事の時のお話でも写真付きでご案内しますね。
おもさを支えるのは柱になり、この重たい部屋を支えるためには周囲にしっかりと柱があることが大事です。
階下に柱がないと、横部材である梁という材料で荷重をすべて持たせる必要がある。
さっきの話に戻るんです。
ユニットバスに下にはユニットバスと同じ大きさの部屋があったほうが荷重がしっかり受け止められるということ。
ちょっと前に住宅会社の営業マンがダメダメなプランを描いて持ってきました。
それこそユニットバスのお話なのですが、ユニットバスの下には玄関とポーチがまたがっていて、お風呂に下には柱が2カ所しかない。
宙に浮いているようなユニットバスでプランニングをしているわけです。
1階は外周部の壁はユニットバスの真ん中を通っていてその壁を作るための梁を入れなければならないし、構造は複雑化、無駄がすごく多いプランでした。
何を考えてこのようなプランを作ってきたのか、その意図は全く理解できませんが、こういう家を提案されたお客様は不安になるだろうなと思います。
重たい部屋を支える下に柱が無い。
熊本地震から5年が経ちましたが、熊本地震の時に特に注目を浴びたのが直下率のお話。
つまり
2階の柱の下に1階の柱があるのかどうか?
直下率の目安は60%以上といわれますが、70%でもいいくらい。
柱だけでなく、壁についても直下率を考えてプランニングをすることが大事になります。
熊本地震では直下率が低い家が倒壊や半壊の被害を受けたと報告がありました(インテグラル調べ)
どういう家かというと
先ほどのユニットバスのようなこともそうですし、
1階に大空間のリビングルームを作ってその上に子ども部屋やバルコニーなどたくさんの間仕切りを作った場合などです。
外観で
1階が大きくて2階が小さい家ってよくありますよね。
1階部分が広いLDKにしているけれども、2階部分の外壁が建物の真ん中くらいにあって、その下には壁がなさそうな家。
大きな荷重、大地震のような揺れが生じたときには、そういう部分に荷重が大きくかかり、構造がやられてしまいます。
モジュールコントロールをしっかりすると部屋の大きさそろえることによって耐震性が高くなることは確かです。
ユニットバスの家のようなことにならないように
しっかりと根拠をもったプランニングをしてもらってください。
しかし、使い勝手や生活のしやすさなど考えると間崩れは仕方のないことです。
優先事項があって悩ましいことですが、それはプロがしっかりと考えること。
あなたが出来ることは、まずはモジュールコントロールすることです。
その先は建築家が考えていったり、工務店が考えていったりする。
その時にちゃんと根拠があるかどうかを聞いてくださいね。
のびのび子ども住宅では許容応力度計算で耐震等級3をクリアする構造設計を九万田がしてますから~
プランニングの話はいったん今回で終了。
これからが本番なんじゃないの??って思われるかもしれませんが、個別でご相談してもらえればいいですしね。
それに
今週から新築工事が始まります。
よって
新築工事の手を抜いてはいけない!!
を連載していきます。
こちらもお楽しみに~(/・ω・)/
これまでの記事もぜひ読み返してくださいね
これまでのお話はコチラから
第二話の続き プランニングの手順2の続き~車のことを考える~