断熱
おはようございます。
一緒に住むなら、ネコかイヌかと迷い続けている九万田です。
ネコの寝顔はかわいいですねー
暖かい部屋なんだなーって見とれてしまいます。
さて、今日は断熱についてのお話。
目指す断熱性能って?
脱炭素、カーボンニュートラルに関して断熱性能の高い住まいづくりや建築物への取り組みが取りざたされていますが、
一般住宅はもはや断熱性能の高い家は当たり前になってきていますよね。
そのレベルは様々あるものの、断熱がなされていない家っていうのはなくて、
少なくとも断熱材は入れている家は新築では当然になってきています。
昔の家は違いますけどね。
中古物件をフルリノベーションすると断熱材は入っていないとのいうのがほとんど。
現在の住宅とは全く違く建物ですから、比較してはいけないのかもしれませんね。
そんな断熱ですが、
私たちがいる大阪北摂の高槻市では国(国土交通省)がいうところの
断熱性能等級5もしくは6という地域区分にあたり、
断熱等級5がUA値0.6
断熱等級6がUA値0.46
断熱等級7がUA値0.26
となっています。
こんな数値が並んでいてもわかりにくいのですが、今の基準になっているので少しは知っておいたほうがいいですし、
等級のどのあたりにあなたの家があるのかも知っておいたほうがいいですね。
さて、あなたが目指す家はどのグレードなのか?というのが一つの目安になりますが、
等級6以上=HEAT20G2レベルは目指さないとダメなんじゃないかなって思います。
私たちがいる高槻市や大阪北摂の地域では
等級5は簡単に達成できる数値ですから、その上は目指したほうがいいでしょうし、
等級7になると、いろいろと考えてやらないと達成がしにくい数字ではありますからそこまでもっていくんだ!!という方は
プランニングから施工方法までしっかりと検討が必要というレベル。
よって、ちょっと意識してやればできる等級6は手に入れたいということです。
でも
そもそもUA値って何??という方もおられるでしょうから
簡単に、本当に簡単に説明すると、
家の熱がどれくらい逃げやすいか?というのを数値で表したもので、
建物の壁とか屋根とか窓とかの面積がありますが、その部材部材で熱の逃げやすさを計算していったものです。
逃げやすさということですから
数値が大きいほど熱が逃げやすく、数値が小さいほど熱が逃げにくいということになり、
UA値が小さいほど性能が高い家になるわけです。
それを地域別に分け、性能を7分類にわけたのが省エネ基準になっています。
省エネ性能が高いと、住宅ローンの金利が低くなったり、補助金を受けられるようになったりしますので、
メリットは様々あります。
当然、性能が高くなると建築コストにつながるので注意も必要。
さっき言った等級7を目指す、HEAT20のグレード3を目指す、といった内容です。
大幅にコストが上がってくるので、注意が必要かな?と思います。
そして
UA値が低く性能が高いことばかりに目が行ってしまってもダメなんですが。。。
先述のUA値について説明した通りなのですが、わかりますか??
例えば、窓がたくさんある家は、UA値はどうなるか?というと、どうなると思います???
壁に断熱材が入っている部分と窓の部分だと、熱の逃げやすさはどちらがどうかと言えば、
窓のほうが熱が出入りしやすいですよね。
かといって、窓が少なすぎる家もどうなの?となります。
明るさや風の通り道、もし窓を開けたら絶景が広がっているとしたら設計はその絶景をいかに楽しむかを考えるべきなんです。
基礎部分が大きいとどうなるか?
やはり基礎の断熱の仕方によって熱が逃げやすくなったりします。
基礎断熱と床断熱のやりかたなどによっても熱の逃げ方が変わりますし、
そのほかにも
屋根の断熱と天井の断熱では熱の逃げ方が違います。
数値を単に低くしてUA値を計算上、小さくすることはいろいろやればできますが、
それが単純にいいとは言えません。
ひとは数値で生活しているわけではなにので、豊かさを求めて生きていますから、
数値ばかりに目が行ってしまって、
『わが社はHEAT20のグレード3です!!』なんてことを自慢いっぱいに話しているのってバカらしいなーと思っちゃいます。
断熱材っていろいろあるけれど
断熱材のお話です。
断熱材っていろいろあるけれど何がいいんですか?というご質問や
のびのび子ども住宅ではセルロースファイバーを使っていますけど、どうしてですか??という質問が最近たくさん届きます。
何がいいですか?
と聞かれれば、セルロースファイバーです!!と答えますし、
どうしてセルロースファイバーを使っているのですか?と言われれば、下記のとおり回答します。
一般的に多く使われている断熱材は
グラスウールでしょうか?高性能グラスウールというものが最近は多く、密度の高い断熱材を使っている会社も多いです。
16K高性能グラスウールとか書かれているのがそれにあたります。
グラスウールは安く手に入ることがいいところで、性能としても高いのですが、
どうしても気に入らないことがあります。
それは湿気対策が必要だということです。
昔の建物、断熱材なんて考えられていない時代から、断熱材を入れましょう!となった時代。
バブル時代ぐらいなんだと思いますが、詳しくは知りません。
その当時、ハウスメーカーがどんどん断熱材を入れ始めました。
入れたことがない人たちが断熱材を入れ始めますから、その施工に問題が出てきます。
グラスウールというのは湿気を含みやすく、その湿気を含んだ断熱材は重さでズレ落ちてくることが多くあったようです。
私も昔の家を解体した時に壁からズレ落ちた断熱材が出てきたことがあります。
真っ黒になったグラスウールの断熱材でした。
カビてしまっているんですよね。
湿気が含まないように防湿シートを施工するなんてことはやっていない時代ですから、そういう建築事故があったのだと思います。
で、今は断熱材にグラスウールを使うときには防湿シートを室内側に施工をする、
袋状になったグラスウールを使うときは、断熱材の袋に耳がついていますが、その耳を柱などにしっかりと打ち付けるといった
施工方法になっています。
私がどうしても気に入らないのは、そこなんです。
防湿シートを施工することなんです。
のびのび子ども住宅では施工をしっかり監理しています。
九万田が設計をして、現場監督も九万田がやって、設計図書どおりの施工ができているのかを監理するだけではなく、
施工方法について間違いがないかどうかの確認もやっています。
すると、
気密性能も当然上がってきて、気密は0.2以下、実際すべての施工させていただいた家で0.14とか0.16とかいったC値レベル。
かなり気密性能の高い家になっています。
先日、気密性能0.5を訴求しているハウスメーカーを見ましたが、普通に施工したら0.5は簡単ですから、わざわざ訴求することでもないのにと思いつつ、このことを知らないお施主様もたくさんいるのだろうなーと思ってしました。
それはおいておいて、
気密性能が高いとデメリットがあります。
メリットはたくさんあって、
そもそも気密が高い家なので家の窓を閉めていると空気の移動が少なくなりますから部屋のどの場所にいても同じ温度になっています。
空気が動かないということは天井も足元も同じ温度になりますから、
どの部屋も冬は暖かく、玄関もリビングも、トイレも脱衣室も同じということになります。
今、ヒートショックという問題がありますが、そういった家での事故も防ぐことができるようになるでしょうし、
これだけ電気代や燃料代があがっている時代に、エアコンの効率がかなり高くなって、お得な生活ができるという大きなメリットがあるんです。
風邪もひかなくなるでしょうしね。
しかしデメリット。
それは乾燥してしまうこと。
メリットのほうが上回ると考えますが、日々の乾燥、のどのイガイガやお肌の乾燥はつらいですから。
気密が上がるのはいいことだけども乾燥が厳しくなるのはイヤという方は多いです。
だから少しでも乾燥を抑えられるような家づくりを目指したいと思いますが、
防湿シートを家の中に張り巡らせるということは絶対に乾燥が激しくなるんです。
セルロースファイバーの最大メリット、調湿性能
グラスウールを絶対選ばないのは防湿シートを張り巡らせることによる乾燥をさらに進めること。
これがどうしても許せないことで、あとは気分です。
ビニールシートの中に住んでいるのって、なんだか窒息しそうなイメージありませんか?
これは個人的な気分の問題で、そんなことはないんですけど、ただ単に嫌なだけです。
嫌だから、お客様に進めていないんです。
じゃあ、
セルロースファイバーはどうなの?ということになりますが、
セルロースファイバーは防湿シートを張らなくてもOK!!というか、張らないでくださいってなります。
セルロースファイバーは不織布、マスクとかに使われているシートですね、湿気を通すシートをを張り巡らせて
そこにセルロースファイバーを吹き込んでいきます。
あ
そもそもセルロースファイバーって何?という方にですが、
新聞紙が材料で、それを粉砕し細かく細かくした状態のものが断熱材になっています。
のびのび子ども住宅ではデコスセルロースファイバーを使っていますが、
そこは出荷されなかった新聞紙を粉砕して断熱材として使っています。
もともと、木質の材料ですから自然由来の材料であり、SDGS的にもよい材料だと思っています。
さて、そのセルロースファイバー、
もとは新聞紙、新聞紙っていやな梅雨時期にこんな使い方ってしていません??
例えば
梅雨の時期に雨でぬれてしまった革靴やスニーカー、
明日までに乾くようにって新聞紙を丸めてとりあえず一晩突っ込んでおくなんてことしませんか?
どうしてそんなことするのか?ってわかり切っていることですが、湿気を取ってくれるからですよね。
新聞の折り込みチラシや雑誌では湿気は取ってくれませんけど、新聞紙は取ってくれるんですよね。
セルロースファイバーの断熱材ってそういう断熱材なんです。
そう、湿気を取ってくれる。
そして、含んだ湿気は掃出してくれる、調湿性能がある断熱材なんです。
梅雨といったこれからむしむしする夏場は湿気を取ってくれるし、
冬の乾燥するシーズンは湿気を掃出してくれる、そんな役割を果たします。
のびのび子ども住宅では高気密住宅になりますから湿気を掃出してくれるセルロースファイバーの断熱熱材はぴったりなんです。
しかし
セルロースファイバーって気密性能ってとれるの??と心配されるかたもおられたり、
プロの建築をする人でもダメなんじゃないの?と思われている方が多いのですが、
そんなことありませんよね。
だって、
のびのび子ども住宅の施工例を見てもらえばお分かりの通り、C値が0.1台なのですから。
セルロースファイバーの特徴、防火性能
セルロースファイバーの特徴として2つ目の大きなことは
その防火性能です。
セルロースファイバーはその断熱材にホウ酸を使っています。
ホウ酸って優れモノで、不燃なんです。
よく実験映像で見るのが、
グラスウール、発泡ウレタン、セルロースファイバーに着火した時、どうなるかという実験なのですが、
もともと新聞紙だからよく燃えるだろうと思いがちですが、ホウ酸でコーティングされているデコスセルロースファイバーは火が付かず
発泡ウレタンはボーボー燃えだしてけっこう怖いですね。
セルロースファイバーは着火すらしないことが実験映像でみられます。
茨城県の建築会社さんがこんなことを実験されてましたので、シェアしてみます。
ファーストステージさんの動画です。
ファーストステージさん、ありがとう!!
雷とか落雷すると燃えちゃうなんてことを言われますが、
そもそも家に雷なんて落ちませんけどね、
でも燃えないことはありがたいことです。
そして、燃えないので、今年になってセルロースファイバーを使って材料を組み合わせれば、外壁に木材を使えることになりました。
防火認定が取れたんですよね。
高槻市は準防火地域なので外壁には防火性能を持たせる必要がありましたから
今までは窯業系サイディングやガルバリウム鋼板といった材料を使わなければなりませんでした。
それが
セルロースファイバーを使ってダイライトMSと使って、石膏ボードを室内にはったら
外部には木を使えることができるようになり、意匠性がずいぶんとアップしたんです。
デザインの幅が広がりました。
ちょっと時間をかけて打ち合わせをしている高槻市のお客様はこのことで外壁に木を張ることになりました。
完成はもう少し先ですが楽しみです。
そして
燃えない理由がホウ酸と言いましたが、
ホウ酸、ホウ酸、ホウ酸だんご
ですよね。
G対策に使うあのホウ酸だんごのホウ酸です。
つまり、この断熱材、虫がつかない断熱材ということになります。
湿気がたまらない、虫がつかないということで、シロアリ対策になっていることがわかりますよね。
防蟻処理とか考えなくても大丈夫ということになります。
設計段階でいかに許容応力度計算をして、耐震等級3や耐風等級2をうたったとしても、
その建物が計算とおりなのかどうかって10年、20年たった時にわかりますか?
つまり、木が蒸れてしまって腐ってしまった、またはシロアリに食われてしまった
そんな柱や筋交いは本当に耐震等級3なのか、許容応力度計算してますからって言えるのか?って話なんです。
そもそも蒸れ腐りが起こらないような施工方法を確立させる必要があるし、
シロアリが来ないような対策をする必要があるわけです。
選ぶ断熱材が安さだけや数値だけに頼っていませんか?
断熱ってそんなものじゃないと思いますよ。