寝屋川市での注文住宅 新築工事 =地盤=
大阪府寝屋川市。
私たちの事務所のある高槻市からは車で30分ちょっとの場所です。
新築工事がスタートしました。
こんにちは
1級建築士で不動産仲介もできる建築家 のびのび子ども住宅 九万田です。
今日から寝屋川市の新築工事についてお話を進めていきたいと思います。
工事は古いお屋敷を解体から始まり、基礎工事、本体工事と進んでいきます。
今日は先ず『地盤』についてお話をスタート、スタート!!
地盤って大事!
『地盤って大事!!』
地盤って大事!なことはわかりきっていること。
家が傾いてはいけなしし、地盤沈下をしてはいけないから。
では、その根拠は何?というと知らない人が多いので、少し小難しいですがお付き合いを(/・ω・)/
地盤はいろいろな土質のものが長い年月をかけて堆積し形成されます。
その生成は年代や原因によって3つに区分され、
●第三紀層
●洪積層
●沖積層
と呼ばれます。
いろいろあるんだなーぐらいで結構です、
が、
洪積層 > 沖積層
は覚えておいてください。
第三紀層は、いわゆる岩盤で信頼できるんですが、
われわれの家づくりにおいては洪積層を信頼できる地層と考えて設計をしているんです。
逆にいえば、沖積層は地盤が緩いということ。
圧密が不十分な粘土層でゆるいんです。
おおきな地震で
土の中で水が分離し地上に浮き上がってきた液状化現象によって建物が傾いたなんてことが報じられます。
洪積層の地盤だとれき層(40mm以上の石)や十分な密度のある粘土層で信頼できる地盤です。
この土地だと建物が上にのっかっても大丈夫という判断をしていくのですが、
そうでなければ地盤改良をしていくことになります。
そして
設計の地盤には
●第1種地盤
●第2種地盤
●第3種地盤
とわけていて、
先ほどの順番にあてはまり。
第3紀層=第1種地盤
洪積層=第2種地盤
沖積層=第3種地盤
と考えます。
これらの地盤には
第1種地盤=0.4
第2種地盤=0.6
第3種地盤=0.8
と
係数が決められていて、地盤の周期Tという秒数が決められています。
掛け算ですので、軟弱地盤だと揺れの時間が長くなることがイメージできますか??
いくら上の建物の強度があったとしても
地盤から伝わってくる振動によって建物が揺らされる時間が長くなるのはお分かりいただけたでしょうか?
このように
地盤の強度によって建物の揺れに大きくかかわってくることから
地盤の状況をしっかり調査しなければならないというわけです。
そのほかにも
地盤についてはいろいろと建物にかかわりあってくるのですが、
地震力に関することで言うと、
その基準が、建築基準法施工令という法ですね。
許容応力度計算においてはこのように建築基準法施工令にあります。
第88条(地震力)
・・・
2 標準せん断力係数は、0.2以上としなければならない。ただし、地盤が著しく軟弱な区域といして特定行政庁が国土交通大臣の定める基準に基づいて規則で指定する区域内における木造建の建築物であっては、0.3以上としなければならない。
とあり
建物の設計をするときに必要な地震力(地震の力が加わった時に作用する地上部分に作用する力のこと)ですが、
地震力QEiとうのは、Ci(地震層せん断力係数)×層の支持荷重∑ としてあらわされ、
さらに、Ciは、分解され、Z(地震地域係数)×Rt(振動特性係数)×Ai(層せん断力分布係数)×Co(標準せん断力係数)となります。
なんだかよくわからないですよね。
先ほどの建築基準法施工令の88条2にでてきた軟弱地盤だと0.3にしなければならないというCoというのがここで出てくるんですが、
全部、掛け算であらわされ、軟弱地盤だとその係数が0.2から0.3と条件が悪い方になる。
さきほどの周期にせよ
せん段力係数にせよ
地盤が悪いと建物に加えられる地震力が大きくなって、それに耐えられる構造にしなければならないので、
地盤の悪さを改良しなけれならないんだ
ということがご理解いただければと思います。
※写真はインテグラル社調べ・提供
地盤調査の票の見方
では、地盤が強いか弱いかをどのように見ていくのか?
それが、地盤調査になります。
地盤調査には様々な方法があり、
ボーリング試験や、標準貫入試験、平板載荷試験などなど。
地盤の支持力と沈下量を知るには、土のせん断強さと圧縮力、そして、地下水の有り無しを知っていきます。
ここでは住宅で使われる
スウェーデン式サウンディング試験についてお話を。
荷重をかけたスクリューを回転させながら
半回転ごとの貫入量を計測していく方法です。
画像はスウェーデン式サウンディング試験の実際の結果です。
表に貫入状態という欄があります。
『スルスル』とか『ゆっくり』とか書いてありますね。
イメージでわかりやすいですが、
表を左からずっと見ていくと
1KNの荷重を25センチずつ計測しています。
そして
回転数が高いところは、右の表で黒く表示され、回転数がちいさいところは表の黒い部分が少ないです。
すくないところの表記は『スルスル』とか『ゆっくり』とか書いてあり
このあたりは弱いんだなということがわかります。
一番左は許容支持力。
結局ここが大事なわけですが、その左
『換算N値』をチェックしてみてください。
N値という言葉が建築にはよく出てきますが、標準貫入試験で求められる強度です。
N値が何者かはともなく
住宅の設計においてN値がいくらあったらいいのか?ということが大事ですよね。
地盤の許容応力度計算としては
長期荷重と短期荷重があり
長期では20KNで、短期はその倍ですから40KNとなります。
地盤の長期許容応力度を選出するとき
私は5ポイントとった試験データーから
1mあたりの半回転数の最小値の平均を割り出し判断をしています。
これは寝屋川市の建築現場の近くのデータを調査会社からいただいたものです。
みると、約10mまでいかなければ20KNに達しないため地盤がかなり悪いことが判断できます。
ここまで深いところにいかなければ20KNを超えないとなると
地盤改良工事が必要だなとわかりますが、
微妙な深さの場合がどうなのかですね。
それが
上述しました平均値を出してみてということになります。
平均値が悪ければ地盤改良になりますし、
極端に1カ所ないしは2カ所わるければ、地盤が極端に傾斜していることになります。
造成地など盛土をされている場所などはこのような結果になる場合がありますが、
不同沈下の原因につながりますね。
深さによって
柱状改良や鉄杭改良、またまた表層改良などいろいろあります。
ぜひ、営業担当者に聞いてみて!!
建設会社・住宅会社によっては
地盤改良=柱状改良
という選択しか持っていない会社もありますが、実は実は、いろいろな方法があり現場の状況やお施主様の意向、そして設計者の判断によって変えていけばいいと思います。
といいますが
地盤改良や地盤の強さについての判断の仕方をよくわかっていない担当者がなんと多いことか。
大手住宅営業の担当者はほとんど知らないんじゃないでしょうか?
地場の工務店の営業マンや現場監督といった人たちも知らないかも・・・
どうしてかというと
建築と土木と同じように非なるもの。
上の工事はわかるけど、土の工事は知らない人がおおいのがこの建築業界。
土木工事にうといひとが多いです。
地盤調査の結果報告でよくあるのは、
『地盤調査会社がそのように言ってます』という営業マン。
これはちょっと心配。
そして
『改良方法についてはこれでいきます』という言い方になるのは、おそらく地盤調査会社がそういっているからだけであって
しらない人が多いんですよね。
スウェーデン式サウンディング試験の結果の表があのように
感覚的でわかるようになっているからなのか、土木について知識がなさすぎます。
地盤が大切なのは皆知っています。
あれだけ大きな地震がきて、テレビやネットで家が傾いている映像を見せられたら地盤が本当に大事であることは明らかで、みな心配しているんです。
では、あなたが持っている土地、買った土地がどれくらいの基準になのか?
それをちゃんと説明してもらっていますか?
営業マンがそういったから?その根拠となる部分は何なのか?
そこは突っ込んで聞いていいところですよ。
ちゃんと工事はしてくれます。
保証の問題もからんできますので、
でもね、選択肢はたくさんあって、工事の仕方によってはコストも大幅に下げられるし、近隣の対策だってよいものもたくさんあるんです。
しっていただきたいなー