注文住宅の新築工事スタート=地盤調査=
注文住宅の新築工事がスタートします。
今回はどんな家になるのか、楽しみにしてください。
今日は地盤調査のお話からスタートです
地盤調査はなぜするの?
地盤調査はなぜするの?と思われる方もおられるでしょう。
そもそも必要なのか!?とも思われるかもしれませんね。
地盤調査は必要です。
注文住宅の新築工事だけでなく、建物を設計するうえで、その構造の検討をするには
根拠となる法律があります。
それが
建築基準法施工令38条及び建設省告示1347号です。
詳しくは国土交通省のホームページを参照いただければいいのですが、
基礎の構造についてはこのようにしなさいよ!!ということがややこしい言葉で書き綴られています。
注文住宅の設計をする上では当然それらをチェックしながら基礎を検討していきますが、
今回の現場もいろいろと考えながら設計をしました。
さて
法律に縛られているので地盤調査が必要だとお伝えしましたが、
それだけではありませんね。
施工する会社には家の構造について施工上の安全担保をすることが義務付けられています。
いわゆる瑕疵担保責任というものです。
瑕疵担保とは
作り手、売り手がその建築物に対して、買い手が故意や過失で構造を痛めるようなことをしない限り
安全性に対して一定の責任と、その対策を打ちなさいよという決まりごとがあります。
2005年に構造計算書偽装事件が起こりました。
一人の建築士が構造を偽装して、マンションやホテルなどを設計。
構造が、いつ倒壊してもおかしくないマンションに住む住民は行政執行により退去し、
その責任は一人の設計士が追うこととなりました。
売り手も作りてもそれをチェックする会社も誰一人責任がなく
構造を偽装した設計士だけが責任を負って、結局住民は泣き寝入りという社会問題が噴出したんですね。
そこから瑕疵担保責任という考え方が出てきて、
売り手も、作り手も責任がある、
そのように変わっていきました。
構造の安全に関しては
上述の基礎の構造を検討したうえで、当社であれば木造部分の構造についてもしっかりと安全を確認できる設計と施工をしなければならないということになりますので、
よって
建物そして基礎を支える地盤についてはしっかりと調査をしなければならないこととなります。
準備をしなければならいと申し上げましたが、
作り手、売り手はその建物に対して10年間2000万円の準備をし続けなければならいとなります。
(ちょっと簡単にお伝えしましたが。。。)
10年間2000万円を継続して準備し続けるということは
経済的に、ビジネス的に無理が生じますので
多くの会社が瑕疵担保責任保険に加入するということになります。
保険ですので少額で、そして構造と雨漏れに関しての責任を担保し続けることが出来るわけです。
この保険の裏返し的なことが地盤調査が必要ということになりますね。
地盤調査もさまざま
地盤調査が必要なことはご理解いただけたと思います。
さて
地盤調査には様々な方法がありますが、
1級建築士のブログだーとか、注文住宅の設計のブログだーとか思って読んでいただいている方は
多くが住宅について関心がある方だと思います。
よって
地盤調査はスウェーデン式サウンディング試験になるでしょう。
安価だからです。
マンションとかであれば荷重が大きいので
ボーリング試験を行うのが普通です。
そして
スウェーデン式サウンディング試験もそうですが、原位置試験といわれるいわゆる現場そのもので試験をする方法には
標準貫入試験や平板載荷試験などありますが、
私はスウェーデン式サウンディング試験が住宅では全部でしたし
あと平板載荷試験も大規模な工場を建設するときに平板載荷試験を行った経験があります。
棒の先がスクリューになっている状態のものを地面に突き刺し
貫入・回転・引き抜きなどに対する抵抗値から地盤の性状を調べる方法ですが
その試験から
●地盤の硬軟
●土層の構成
が、わかります。
地盤調査の様子を見ていると
ドリルがぐりぐり回りながら進んでいきます。
そして
時々、ストーンと落ちる様子や、するするするーと進んでいく様子などがわかります。
荷重をかけながらドリルを回転しているので
地盤が弱い層は100キロの荷重をかけるとストーンと落ちる様子が分かりますし、
地盤が強いところはがりがりと音を立てながら進んでいきます。
砂の層と粘土の層がありますが、
砂の層のほうが、粘土の層に比べて、N値という、私たちが使う言葉ですが、土の強さを表しますが、
砂の方が数値が大きく表れます。
イメージしていただくといいのですが、
タッパーの中に砂と粘土をそれぞれ入れた場合、
上からぎゅうーっと押すと逃げ出すものがあります。
それが空気だったり、水だったり。
推した砂や粘土の部分には多少なりとも隙間があります。
微小な隙間なので目には見えませんが、小さな小さな隙間です。
それを押しのけようとすると、空気は移動し、水も移動します。
どっちが多いかというとやっぱり粘土。
水も水分も多く含んでいますよね。
タッパーのなかで押せば水は上に上がってきますし、それだけ隙間があり、それだけ密ではないということです。
目でみてわかる隙間ではありませんが、密なそうではないことはイメージしていただけると思います。
この密な層、そして家を支える層がどの深さにあるのかを調べて、基礎の計画をしていくというわけです。
地盤調査でドキドキすること
地盤調査でドキドキすることがあります。
それは地盤が弱くて地盤改良をしなければならないことが分かるときです。
今回の現場は周辺環境や過去の地盤の状況などをあらかじめ予測しておいたので地盤改良は必要だと考えていました。
よって、予算取りをあらかじめしておき、お施主様がびっくりしないように準備をしていました。
しかし
正直、思ったよりも深く地盤が弱い層が続いていることが分かり、少し予算の見直しをしなければならないだろうと思っています。
5mぐらいなら柱上にセメントを流し込む柱状改良を検討します。
柱状改良は60センチ程度の柱上の穴をまず掘り、そこに改良材を流し込みます。
一般的な改良方法だと思いますが、
水を使うので現場が汚れてしまうこと、そして穴をいくつもいくつも掘るので土の処分が必要になることなど
現場管理=周辺対策をしっかりしなければならないという課題と
残土処理費用を検討しなければならないという課題が起こります。
10mぐらいになると
鋼管の杭を打ち込む方法になります。
コストがあがりますので出来たら避けたい方法です。
また
そのミックスもあります。
柱状改良は60センチほどの穴といいましたが、もう少し小さくして例えば40センチにする、そしてその中に交換を埋めていく方法
こうすると穴が小さくなるので残土処理が少なくすむとか
例えば、埋蔵文化財があるだろう地域であれば、調査発掘に支障がない大きさになりえるので工期に問題なく行えるなどです。
現場現場で何が最適かを考えて、一概に地盤改良=柱状改良とせずとも良くても方法はあることを知っておいてください。
そして
ドキドキすることはもっと他にあります。
それは
極端な深さの違いです。
一方は10m、対側は2mとかの場合です。
まったく違いすぎて地盤改良の方法をかなり詳細に考えなければなりませんし、
そうなると、基礎の鉄筋コンクリートの形状を考えなければならない場合があります。
今回の現場はそこまで大きな変異はありませんでしたが、
しかし、山の形状なりに地盤も深いところ浅いところがありました。
なだらかな傾斜を伴っている感じです。
このような場合とは違って
大きく地盤の深さが違う場合の原因が考えられるのがこれです。
地中埋設物
地中埋設物が残置されていると、極端に浅い部分で非常に硬く、深いところで支持層があるけど、その支持層が本来の地盤の強さという場合です。
地中埋設物は掘ってみないと何があるのかわかりません。
考えられるのは
以前の建物の基礎コンクリート、
浄化槽にコンクリートを埋めて固めてしまったもの
巨大な岩
その場合に調査したてのドリルに液体を吹き付けるとわかる場合があります。
リトマス試験紙を小学生ぐらいで習ったと思います
酸性だと紫?アルカリ性だと青色?どっちだか忘れませしたが、
地中埋設物に先に申し上げたドリルが当たって進まない場合、そのドリルに試薬を吹き付けると色が変わる場合がありまう。
コンクリートはアルカリ性、だからアルカリ反応を見ます。
既存コンクリートがあったり、浄化槽があったりすると、自然物ではなく構造物である場合はその反応が見てわかります。
こうなると撤去。もしくは基礎の形状を検討します。
撤去は現実的ではありません。
大量の処理物が出てくるわけですから非常にコストがかかります。
こうなるともうドキドキ以外にありません。
こうならないように基礎の形状を再検討し安全性に配慮する以外になくなります。
何もないのが一番いいのですが、
何かあった時の対応力。
設計に求められる柔軟性や想像力が必要な技だと思いますね。
高槻市の1級建築士事務所がつづる工事行程ブログ。
どんどん書いていきますよ。
高槻の注文住宅も、また1件別でスタートする予定ですから、楽しみにしてくださいね。