高槻市の土間リビングのある家=工事レポート6=基礎工事2チェックポイント
北摂の高槻市から、注文住宅の設計施工・耐震改修工事・断熱改修工事といった大規模リフォームを行っています
1級建築士事務所 株式会社のびのび子ども住宅 九万田です。
高槻市の土間リビングのある家=工事レポート6は、前回の続き、基礎工事について。
前回は基礎工事の着工時のお話でしたが、今回は工事チェックポイントとしてお伝えします。
土を掘ることから開始
さあ、基礎工事が始まりました、
位置出しをして、図面通りの場所かどうかを確認したら、掘っていきます。
どんどん、どんどん掘っていきます。
図面には、どこに何センチ掘って、その長さがいくらかということが示されていて、
掘っては高さをチェックし、掘っては確認作業をするを繰り返し。
慣れたもので、大きなユンボという重機を操作しながら進めていきます。
すると、
転圧作業をし、掘って緩くなった基礎の表面をまずはまっすぐに仕上げていくことを行います。
ランマーという機会で叩いていくんですね。
砕石を下にひいて、(これも厚みを指定していますので、写真ですべて計測してもらっています)
叩いて、叩いて、叩いて、平らにする。
そのあとに鉄筋工事が入りますが、
昨日お伝えした防湿フィルム施工をしていきます。
防湿フィルムに破れが無いか、
そして、この時点で一番大事なのは、
防湿フィルムの重ねがしっかりとられているかです。
昨日も言いましたが、
防湿フィルムはこれから作業する鉄筋工が水分からぜきるだけ遠ざけるためにあるものです。
破れていてはだめだし、重なりが少ないと、そこから水分がじわじわと伝わってくる。
イコール
鉄筋がさびて、爆裂の原因になるということ。
あなたが現在新築中で基礎工事中ならば
工事チェックでまずしなければならないことは、ここでしょうね。
シートは破れやすいから、破れたところを補修してもらってください。
テープでしっかり貼れば大丈夫。
ここまでくると、次は鉄筋工事に入っていくんです。
鉄筋の組み立て工事
掘方が終わり、シートをはったら、
捨てコンクリートを打設します。
捨てコンクリートは強度のためではなく、鉄筋工事をするにあたって位置出しを間違いなくする必要がありますのと、
鉄筋も長いものを使えば、ぼよんぼよんにたるみも出てきます。
土の上で鉄筋を組むよりも
位置を書き出せるコンクリートの上で、そして硬いコンクリートの上のほうがシートを破いてしまうこともありませんから
のびのび子ども住宅では捨てコンクリートを打設した上に鉄筋を組んでいきます。
ときどき、土のまま、シートのままで鉄筋を組んでいる会社がありますが、
たぶんいっぱいシートは破れているんだと思います。
さて
鉄筋の工事チェックはたくさんあります。
図面にすべて書かれていますが、
こんな感じに書いています。
ちょっと画像が荒くてスミマセン。
外周部の鉄筋の寸法について書かれています。
これは一般図ですね。
外周部はこれが基本ですという図面です。
これに基づいて鉄筋の職人さんは組んでいただき、私たちはこれに基づきチェックします。
・地面から何センチの高さがコンクリートの高さなのか、
・鉄筋は何ミリの太さのものを何本配置するのか、
・曲げた時の長さはいくらにするのか、
などなど。
それを現地でスケールをあてて全部チェックしていきます。
鉄筋工事の職人さんもプロなので、
そして、鉄筋もおおよそ現場ではなく、工場でいったん仮加工をしてから現場搬入をしているので、
おおきな間違いはおきません。
そこは
みんな瑕疵保険の検査もあることを知っているから、図面通りに間違いなくやってくれています。
そのうえで工事チェックをしなければならないことは何なのか?ということになりますよね。
それは
職人さんがついついやってしまうようなことや
職人さんがやってくれた仕事内容では、強度がいまいちになるなーと感じられる部分の補強といったことです。
よくあるところはココです。
この写真で言えば、鉄筋のしたのほうです。
鉄筋がたくさん入っている部分。
鉄筋がたくさん入っていると強そうに感じますが、ちょっと違う。
たしかにそうなんですけど、単純にそうだというわけではありません。
これは、いわゆる定着部分の写真です。
定着部分というのは、
基礎が直行して鉄筋が90度に折り曲がり、しばりつけられています。
それが定着といい、長さを定着長さといいます。
では、定着とは何かというと、
鉄筋がコンクリートに覆われている部分で、スポッと抜けてはダメな部分です。
鉄筋からくる力がコンクリートに伝わりますので、全強度を受け止めるコンクリートにならないといけないということです。
この長さが重要で、且つ、決まりがあります。
それは職人さんがやってくれるので、まず間違いはありません。
あわせて大事なのが、鉄筋と鉄筋の空き寸法です。
鉄筋の空き寸法は、
その鉄筋の径の1.5倍
骨材といわれるいわゆる石の径の1.25倍
25mm以上
という決まりごとがあります。
知らない会社、多いです。
木造ばっかりやっている現場監督や、不動産系の建築会社の担当者は知らない人が多いです。
これ、ホント。
空き寸法が必要なのは、
上述のとおりで、鉄筋がスポッと抜けないように、全部しっかりコンクリートに覆われる必要があるためで、
鉄筋がぎっしぎしに詰まっていると、コンクリートがうまく充填されない状態で仕上がります。
これ、強度が出ないということが分かりますか?
鉄筋とコンクリートが一体になっていることが大事なんです。
こういう空き寸法が守られない状態の基礎は多くありますから、注意が必要で、職人さんもうっかり施工してしまうこともあります。
このあたりのチェックが必要なんですよね。
お願い補強もしっかりチェック
基礎図面にそって工事をしてもらうのが基本ですが、
工事の状況をみて、補強をしてもらうことがあります。
例えば、上の写真です。
ちょっとわかりずらいのですが、平らな部分から2つの壁が立ち上がっている部分があります。
3面交点になっている部分なのですが、
立体に考えていただく必要がありますが、
水平面からにょきっと立ち上がっている2つの壁が90度で交わっているとき、
90度のとんがっている方向に揺れが生じた場合、何らかの力が加わった時、
水平面も同時に押していきます。
イメージはこんな感じ。
水色の力が加わると、1方向に動いていきます。
小学生か中学生かの力の動きで、合力とかやりましたか?
2つの力が平行四辺形の力に向きに変わっていくっていうヤツです。
ですので、
2つの水色が、オレンジ色の力になって押せ押せ!!となっていくと、
基礎が破壊する方向が決まっていきます。
そこで、
その力の動きを止めるがごとく出てくる補強筋、レッドの登場というわけです。
斜めの力を止めてあげ、補強しておく。
図面に書いていないことなのですが、強度としてあげておくほうが良いので補強筋を入れてあげる指示をしていきます。
こういった工事チェックをしてあげると家は強くなります。
特にコンクリートは手をかければかけるほど、美しく強度も増し長持ちするわけです。
現在、基礎工事が終わって上棟待ちの、新しい新築工事現場はこういった補強筋を入れています。
土を止める擁壁工事などに関わっていないと、こういう考えにはなかなか至らないですね。
担当者がコンクリートにも長けている担当者だと安心して工事を任せられますが、木造ばっかりだとちょっと不安になるかもしれません。
いろいろな現場のことを知っている人に工事は任せるようにしなければなりませんね。