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高槻市の土間リビングのある家=工事レポート1=プランニング

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1級建築士事務所 株式会社のびのび子ども住宅 九万田です。
高槻市の土間リビングのある家の工事レポート、第1回目です。
といっても、9月に上棟しましたから、随分と経っていますが、その分振り返りながらたくさん書いていきたいと思います。
もくじ
大規模リフォームか建て替えか?
プランニングの進め方
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大規模リフォームか建て替えか?

地震

高槻市の土間リビングのある家、
初めてこちらのご自宅にお伺いしたのは、2021年12月でした。

年末にお電話をいただき、家の相談をしたいとのこと。
当初はリフォーム工事のお話からでしたが、新築と大規模リフォームとの違いについてお伝えしたことを覚えています。


コンパクトに住まい、庭とつながりをもって豊かに暮らす。


このご家族にはぴったりな方針だと思い、お伝えししました。


しかし大規模リフォームもやはり捨てがたいお話です。
大規模リフォームは工事期間が少しだけ短くできることや、コストも少し下がります。

具体的に工事期間が短くできるというのは、
仮住まいに引越しをしていただき、内部や外部、一部減築といったことも考えられますが、仮住まいに移っていただいた直後に工事が進められること。

といっても
手ごわしで進めていくため、なかなか進みませんが、大工を中心に解体を進めていき、内部の様子を確認しながら施工範囲どおりの工事ができるかどうかをチェックしていきます。

もちろん、
インスペクションといって、既存住宅状況調査をあらかじめ行い、補強範囲や、やり替え工事内容をあらかじめ計画をするわけですが、
見切れない部分、例えば、シロアリ被害も基礎内部だけにとどまらず柱の上の方までやられてしまっていたりし、壁の中で見えない部分もあったりします。

インスペクションを十分に行っていれば、解体時間が若干ですが新築工事よりも短縮できるといわけですね。


コストが少し下がるという点は
既存のものを再利用できたりするからです。

例えば、配管や引き込み線といった外部インフラなどは既存の状態を利用したりします。

実際はやり替えることもありますので、一概にはいえませんが、、、

お伝えしたメリットは小さい場合があります。
工事期間も逆に長くなったり、コストも手作業が増える分アップする場合もありますから、場合場合によると考えた方がいいかもしれませんね。


それ以外に大規模リフォームの最大のメリットは
大きさをあまり変えずに行えるということでしょうか。


どういうことかというと、
昔の家は往々にして建築基準法から外れている建物が多いです。
建築基準法を遵守せずに建物を建てたり、申請内容と違った建物を建てたりと、ちょっと無理な建て方をしているモノが多くあります。

それらは現在の基準外なので、建ぺい率もオーバー、容積率もオーバー、隣地との離隔もとれていないなんてことがあったりします。

新築に建て替えるときには当然に建築基準法に遵守することになりますから、
建物が小さくなったりする場合があります。

敷地にいっぱいいっぱい建っている建物がその可能性が高いですね。

そいうった場合、今まで住んでいた広さよりも大幅に小さく感じるようになることからリフォームのほうが生活しやすいのかもといった場合があります。

基準法に外れたことを見逃すような言い方に聞こえるかもしれませんが、
現実、小さくなった建物では生活できないと思われる方も多くいます。


そういう理由でリフォームを考える方もいるでしょうが、
逆に、リフォームの限界もあるわけで。。。


先日、
東京ビックサイトに行き、2022年第6回日本エコハウス大賞の受賞式に呼ばれて行ってきました。

企業協賛賞を
【ヒバの門扉の先に広がる木々に囲われた庭のある家】=別名 HIRAKATANOIEⅡが
(施工例はコチラをご覧ください)

受賞しました。

その際に
いままでの家を継続して使う大規模リフォームについての話題も多く出ました。
確かにスクラップ&ビルドを繰り返して昔の価値をなくしていく時代ではなくなってきています。

SDGS的な視点が建築には重要になってきており、持続可能性、後世の残る建物、これらは重要です。


しかし
白蟻被害にあい、これから来るといわれる南海トラフ地震や様々な大型台風などを考えると、
エコな暮らしだけでなく、災害から命を守ることは基礎の基礎であり、そのうえでどのように豊かに過ごしていくかを改めて考えなければならないと思ったわけです。


このご家族が心配なされたいた
地震

はじめリフォームを考えるにあたって、耐震診断を他の業者様に依頼をされたということでした。
シロアリにもやられていたたし、耐震リフォームをしても限界があると感じられたということ。

まこの心配されている地震といった点、まずはクリアーできる家づくりをご提案するには
大規模リフォームではなく、新築建て替えることによる住まい方のご提案をしたこと、
今でも正解だと思います。



さて
プランニングはどのように進んでいったかというと、
年末、本当にクリスマスの時にお話をお聞きしたので、年明けにプレゼンテーションをさせていただきました。

年末年始にかけて、ああでもない、こうでもない、と眞理子さんと二人で話をしたことを思い出します。

かなり以前からいろいろと考えてきておられたので、
奥様が下書きを作っていただいていましたので、それを参考に。

そのうえでどういった生活をされているのかや、どういうものをお持ちなのかといったお話を随分とお聞きしながらプランニングを進めたんですね。


出来上がったプラン、画像にあるものがその一部です。
家族がそれぞれの場所を持ち、それぞれが気配を感じながら、過ごす家をご提案させていただきました。


更に打合せを進め最終形に基本設計が固まったのが2月でした。

プランニングの進め方

20220116北村様邸新築工事 DKからフリーS

プランニングの進め方はいくつかありますが、
はじめは、その敷地にとってどこがいい場所か、どこが悪い場所かを見極めることが大事になります。

借景が美しい場所や、周りの環境がいい場所がどこか、
敷地の広さが永遠に続いていく大郊外ではありませんからその見極めが大事になります。


例えば、
最近旅行に行きました山梨だと、広大な敷地の中に家が建っている場所が多く見受けられました。
富士山も見え、北アルプスも見え、それは雄大な景色。

富士山をどのように見るかを考えて多くの方が設計するのだろうなーと思いましたし。


例えば
六甲の山の上ならば、神戸の夜景をどのように見るのだろうかと考えたりするでしょう。


その敷地が持つ借景の美しさや周りの環境について考えを巡らせるのがまずスタートとなりますし、
あわせて、これを取り入れないようにしようといったマイナスポイント、
これは眺めももちろんですが、この部分を解体するとか、木を伐採するとかいった施工範囲もあわせて考える必要があります。


このご家族の場合は
南にお庭が広くありましたので、どの位置に建物を配置しても太陽の光がぐーんと入り込む家づくりができると考えられました。
そして一方、
既存の塀をどこまで解体するのか、そして木々をどこまで残すのか、といった解体範囲を取り決めしていくことが課題でもありました。

それはコストに反映してきますし、
家と外とのつながりに関係してきます。


多くの場合は
家を先行して考える建築会社が多くあります。
しかしそれは間違った順番だとはっきり言います。

外とのつながりを考えるならば、外構計画を先ずは頭に叩き込んでおきながら家のプランニングを進めていく必要があるからです。。

新築建て替えを考えるならば、その判断が絶対に先行して必要になりますね。


どうしても家の間取りや性能を話されると思います。
それはお施主様にとっても大事なことであり、楽しみでもあります。

よく考えてみてください。
断熱性能や気密性能について考えてみるならば、またパッシブデザインについて考えてみるならばです。


実際は家が密集地にあるならば、西日の検討や風の入り方については西側は考えなくてもいいかもしれませんし、
敷地が広い場合は、その影響を大きく受けるので外観に表れていくことです。


家はぽつんと一つ佇んでいるわけではありません。

周辺環境と一緒になって考える必要があるわけです。

建物の配置をどちらに寄せると、その家の性能が上がるかは当然ですが、
南を単純にあけて北側に寄せることによって、すでに北側にあった建物には影を落とし、風通しを悪くさせるといった影響を及ぼすのです。

家は配置、周辺環境によって性能に差が出てくるのは当然ですから、
家の間取りを考える前に、家の周辺環境についてにプランニングをしていくことは当たり前のことだと思いますよ。


リフォームの場合は減築や増築、屋根の形状を変えないという内容であれば、以前のままというのがほとんどなので、
廻りへの影響は小さいですが、

新築建て替えとなると、
選択肢は無限になる分、周辺環境への配慮も随分注意をしなければなりません。

周辺環境を把握したものが、新築に性能の制する
ちょっとオーバーな表現かもしれませんが、実際そうなのだと考えています。


当然、それ以上に新しい家に住まう家族が、家の中をどのように見えるのか、家の中から家の外をどのように見えるのかを想像しなければならないですね。


そうやって
家の外と家の中を想像しながらプランニングは進められます。

手書きで進めたスケッチを、
左右反転にしたり、ひっくり返したり、いろいろです。

ああでもない、こうでもない、と進めていく中で、ここがポイント!!というお話ができる形になっていきます。

今回の家もご家族の考え方や住まい方にあった提案が行えたと思っています。


基本設計が完成した2月から8月着工までまだ6カ月あります。
そのあとは何を進めていったのかなど、次回にお話ししたいと思います。